おこめ

年下彼氏×年上彼女 の恋愛小説書いてます

My precious one 5話

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5


今日も彼はあの場所で待ってくれるらしい。


課題をやると言っていたけれど
いったい何時に終わってるんだろう。。。


ぼーっとしていると同僚からいつもの誘いが。


『まあでもコーヒーを
買いに行かないわけにはいかないよね』

『そうだよね』


コーヒーショップに行くと、彼の姿はなかった。


『あれイケメンくんいないじゃん』

『ほんとだ。。。。休憩かな?』

『ちぇータイミング悪。
てんぱってる梨紗見たかったのに』

『だから。。遊んでるでしょ。。。(笑)』


と言いながらも
明らかにテンションが下がってしまっている自分がいた。


仕事がいつもよりだいぶ早く終わり、
待ち合わせ場所に向かうと彼の姿はまだなかった。


張り切りすぎたと思いながらも気長に彼を待つ。
20分くらい待ったころだった。


「あれ?!もう終わったんすか?!!」


『あ、うんそうなの』

「なんやもー連絡してくださいよー!急いだのに!」

『ごめんね、急に早く終われることになったし
たまには私が待つのもいいかなって』

「お待たせしました。
今日授業やったんすよ、バイト入れてなくて」

『あ、そうだったんだ。。お店にいないなって思ってた』


「会いに来てくれたんすか?笑」


いたずらに笑う彼を見て、
日に日にはまっていっている自覚があった。


『大学この近くなの?』
「はい、定期券内やし気にせんといてくださいね?!」
『う、うんありがとう。』


「明日、土曜っすよねー」
『そうだね、やっと休みだ^^』
「そんな嬉しそうな顔するんすね」
『そりゃあ、休みはみんなうれしいよ』
「俺は会えないのさみしいですけど」


それからというもの、
とりあえず駅までは一緒に行くという毎日が続いた。


駅までといってもほんの10分足らずで
距離がぐんと縮まる実感もなく、
ただただ日にちだけが過ぎていった。


My precious one 4話



4


次の日、私は頭を抱えていた。


彼は大学生で、19歳だった。
もうすぐ20歳になると言っていたけれど....


「梨紗どうしたの、浮かない顔して。
昨日イケメンくんとデートしたんでしょ?」

『そうなんだけど......』


私は彼のことを話した。


『あーまさかの。まあ言われてみればそうだよね』


『でも梨紗、そんな若い子に
うつつ抜かしてる時間ないじゃん(笑)』

『うう.......』

『理想は年上の、商社マンとか言ってなかったっけ』

『はい......』

『それが19歳の大学生に』

『好きとかそんなんじゃ.....』

『でも嬉しそうだったよー?
まあ久々のデートであんなイケメン相手で
喜ばない人いないか(笑)』

『そうだよ調子乗ってました....』

『まあべつに年齢関係ないっていうなら
私は応援するけどね。楽しかったの?』

『うんとても...』


歳は関係ないかもしれないけど、
永嶋さんは今からどんどん楽しくなっていくのに
そんな彼に私は歳上すぎるし年齢的にも重いんじゃ....


まだ叶ってもないのにどんどん考え事が増す。


そんなことを考えてる私をよそに、携帯が鳴った。


「梨紗さん、お疲れ様です。
今日もあそこで待ってていいですか?」


私は高鳴る胸を押さえられなかった。


 

 

My precious one 3話

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3


だめだ完全に踊らされてる。


真剣に相手にされてるわけないと思いながらも
早めに仕事を終わらせて昨日と同じ場所に向かう。



「お疲れ様です。ほんまに早く終わったんすね!」


到着するやいなや、嬉しそうに彼は言った。


『お待たせしてごめんなさい。お疲れ様です。』
「いえいえ、ほな行きましょかぁ」


この状況はなんだろう。


考えを巡らせながら何か話さないとと頭をフル回転させる。



『いつも何時くらいに終わるんですか?』

「それ言うたら梨紗さん、気遣いそうやから内緒です」

『でも.....』

「大丈夫っすよ!大学の課題やってるんで」

『だっ大学?!』


「え?」

『....え?』

「すみません、俺バイトです。大学生です。」


.............大学生?


まって。大学生?


たしかに、かっこいいと思っていただけで
彼が何歳だとか、バイトだとかあまり考えてなかった。


そりゃあ歳下だとは思ってたけど…



『あっそうだったんですね....!!!?』

「びっくりしました?」

『や、まあ、、永嶋さん大人っぽいし、、』

「ほんまですか?それは嬉しいっす」



「ここっす!上手いんすよー」


連れてきてくれたのはお好み焼き屋さんだった。


「豚玉とコーラで!梨紗さんはビールっすか?」

『いや私もコーラで大丈夫』

「じゃあ豚玉とコーラ2つお願いしまーす!」

『お酒弱いの?』

「弱いってかまだ飲んだらダメなんすよ」



その言葉を聞いて、
本当に浮かれすぎていたと気づくのに時間はかからなかった。




My precious one 2話

2

 


次の日もいつもと変わらずコーヒーショップに行く。



「いらっしゃいませ、あっ」

 

心なしかパッと表情が明るくなる彼。
そんな表情に胸がキュンとなる。

 

『お疲れ様..です。』

 

連絡先を交換したとはいえ
あまりにも馴れ馴れしくするわけにもいかないし
でもよそよそしすぎるのもギクシャクしてしまう。

 

 


「ラテ。ミルク多めですね」

『....はい、お願いします』



なにを意識してるんだ私は。



こんなイケメンが私だけを見てるはずはない。


自分に言い聞かせるのに必死で
つい上の空になってしまう



「お待たせしました」


『...』


「梨紗さん?」


『?!あっありがとうございます!』


「ふっ、午後も頑張ってください。」



彼の微笑みに心臓が跳ね上がり、
動揺が隠しきれない。



「ねえ梨紗」

『ん?』

「あのイケメン店員となんかあった?
なんで梨紗の名前知ってんの」

『え、あぁ、、えっと』



私は昨日のことを軽く話した。



「えぇ?!!!!!」



『ねえ声』



「だってそりゃ驚くよ、
連絡先聞かれたって何事?
しかも仕事終わるの待ってたわけ?!」


『そのようだね...
でもまあ、数いる女の1人じゃん?』


「まああんなにイケメンだとね。
そう言い聞かせといて損はなさそう。
でもいいじゃん私も連絡先知りたいわー」



冷静な同僚でよかったと安心したときふと携帯が鳴った



ー永嶋くんー



「ねえ、永嶋くん。きてる。」

『え』


“今日も昨日と同じぐらいまで仕事ですか?”


「うわなにこれー!早く返事してよ!
もうちょっと早く終われそうって!!」


『面白がってるでしょ、、』


そう言いながらも内心嬉しくて
にやけてしまいそうなのを必死におさえた。

 

My precious one 1話


1



会社のビルのエントランスにある
コーヒーショップのイケメン店員さん。

かっこよくて、愛想も良くて、同僚からも人気だった。



「ねえ梨紗、コーヒー買いに行こ」

『うん!』


こんな会話も日常茶飯事で
私もコーヒーショップの店員さんの彼に癒されていた。


いつものようにコーヒーを買いに行ったある日。


「いらっしゃいませ」

いつものようにイケメンくんに迎えられる。


『あ、ラテください。』

「かしこまりました。ミルク多めですよね。」

『えっ、あっはい、、お願いします。』



私の注文を覚えてくれていて少し驚いたけど
これだけ毎日のように来ていたら
覚えられても無理ないよね…
なんて通い詰めてることがちょっと恥ずかしくもなった


「お待たせしました。」

『ありがとうございます』

「午後も頑張ってください。」



ニコッと笑う彼にもう何度目かわからないけど
今日もまた心を奪われそうになりながら
心は充電されて午後も仕事に集中できた。



少し残業になり遅くなってから会社を出ると
コーヒーショップのイケメンくんの姿が…



『わ、こんな時間までいるんだ…..』



そんなことを思いながら挨拶する間柄でもなければ
ミルク多めを覚えてもらえてるからといって
一お客には変わりないと自分を冷静にさせ
目の前を通り過ぎようとした。


その時…..



「あのっ」



『えっ、私?ですか?』


思いもよらなかったことに驚きが隠しきれない。


「突然声かけてしまってすみません。
そこのコーヒーショップで働いてる永瀬といいます。」


『お疲れ様です。。。』

「あの、もしよければ、なんですけど」

『はい、、』



「連絡先教えていただけませんか?」



『えっ』

「すみません、やっぱり迷惑ですよね」



一瞬、いくら毎日通ってるコーヒーショップの
イケメン店員さんとはいえ
連絡先を教えるのは心配性な私は
少し躊躇いがあったけれど。


嬉しくないといえば嘘になるし、
交換だけでもしてみようと思った。


『いえ、そんなこと…..ないです。』

「ほんまですか?!」


関西人なんだ...


『はい……』

「えっと、じゃあ….」


イケメンくんは携帯を取り出してQRコードを表示し


「読み取っていただけますか?」

『はい..』


そうして連絡先を交換した。


こんなのいつぶりだろう…


私の名前が追加されたことを確認すると
パッと笑顔になり、


「ありがとうございます!
連絡しますね、お疲れ様です!」


と嬉しそうに帰っていった彼の後ろ姿を見送り、
そわそわする気持ちを抑えながら電車に乗った。